ヴァニラ画報

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Ciou展「Cosmic Fantasy」

 
現在ヴァニラ画廊では、フランスの作家CIOUの個展を開催中です。
展覧会開催にあたり、来日したCIOUさんに制作のお話を伺いました。

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ヴァニラ画廊(以下V)
今回の展覧会で展示してある作品は、前回初めて来日した際に、色々とインスパイアを受けて制作したものとお聞きしました。
 
CIOU(以下、C)
私は元々、幼少期にフランスのテレビで日本のアニメーションや漫画に多く触れあってきました。
そして、日本のアートに関しても幼いころから両親と共に、伝統的なものからポップカルチャーまで幅広く見て育ちました。
なので、前回来日した際には、子供の頃から慣れ親しんだ風景にすっと入っていくような感じがして、とても不思議な感覚を味わいました。
 
新しい作品を描く事は、様々な影響を色々なものから受けますが、実際に日本という国を見て、私の中で思う部分があり、今回の個展の作品は色々と自分の中で湧き上がってきたものを描きました。
国立博物館で見た太平洋の展示や、ミュージアムで見た妖怪の本、(ものが、年を経て妖怪になるという概念がとても面白いと思いました。)日本の自然にはとてもインスパイアされました。
 
V:CIOUさんの作品は、様々な女性像が描かれています。精霊や女神のように描かれている事が多いですが、女性たちを中心に作品を描く理由はありますか?
C:私は自分がパワフルな女性を描く必要があると思っています。
作品にはストーリーがあり、それには主人公がとても重要です。
ゴッドマザーや魔女、タトゥを施した女の子達や女神、強い女性像ミックスして、描いています。
 
V:確かにとてもストーリー性が強い作品が多いと思います。1枚の作品から、様々なストーリーを想像できますね。
C:テーマはアニミズムやニューカルチャー等、抽象的なテーマを考えているので、観る人のイマジネーションを刺激するような作品が描きたいと思っています。

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V:CIOUさんの作品の特徴といってもいい、とても繊細で細かな線描写や、サイケデリックな色使いはどのような形で生まれるのでしょうか。
C:作品の制作は、まず最初にスケッチを行います。イマジネーションが湧くように、自然と触れあい、美術館を訪れ、そして今まで撮りためた写真などに目を通します。
次に、90年代からのイラスト集を見て、モチーフのリサーチを重ねた上で、別々にスケッチしたものを、コラージュ的に1枚の作品の中に納めます。
(別々の紙に描いたものをコラージュしていくやり方です。)
 
紙の上のドローイングの上から、アクリル絵の具で色を重ねた上で、ここから大きな仕事に取り掛かります。
大鏡と、ロットリングペンで細かく線描を重ねていくのです。

f:id:vanillagallery:20171111132756j:plain(作品一部・色の上から細かな線描で描く。)

V:拡大鏡を使って、あの繊細な線描が生まれるのですね。
C:とても根気強く作業を続ける必要があります。道具といえば、日本に来ると、世界堂に行って、画材を買うのも楽しみの一つです。(笑)
私が日本に影響を受けて、作品を生み出したように、私の作品も色々な人の想像力を刺激して、新たなイメージの展開につながればと思います。

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2017.11.08
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CIOU展「Cosmic Fantasy」
11月7日(火)~11月19日(日)
展示室B
入場料500円(展示室AB共通)
平日12:00~19:00
土日祝12:00~17:00
 
Ciouは、フランス南部のトゥールズに生まれました。
80年代に幼少期を過ごした彼女は日本のアニメや漫画、そしてスター・ウォーズ、ディズニー、SF映画を見て育ち、一日中絵を描いていました。
10代になるとジョイ・ディヴィジョン、パンク、グランジ、ハードコア、後にはブラックサバスといった音楽に浸り、
コミックやイラスト、B級映画にアメリカのポップアートカルチャーが混ぜ合わさったローブローアートに、芸術的・美的共感を覚えるようになりました。
2004年にニューヨークでの個展を開催し、その後、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリアをはじめ、世界中で展覧会を開催しています。
Ciouはヨーロッパ、アメリカ、メキシコ、そして日本のグラフィック分野を融合させ、自然・死・異教・美しさを描き出します。作品内にダークな側面とキュートな側面を兼ね備え、奇妙で民話的な趣と、空想的なテーマを取り込み、唯一無二のCiouの世界観に昇華するのです。
彼女の絵の世界は、チャーミングな奇人や、異分子、タトゥを施した女の子たち、躍動的に踊るニンフ、夢幻的な動物や、擬人化した植物がアシッドな色彩で描かれ、まるで奇妙なカーニバルに遭遇するような喜びと驚きがあると評されています。
ヴァニラ画廊での今展示「Cosmic Fantasy」では、2016年に来日し、日本の自然の美しさに触発されたCiouが描いた新作(環境、神話、そして、かぐや姫や親指姫、妖怪たちのおとぎ話にインスパイアされた作品)と、立体作品を展示いたします。
驚くほどに繊細でありながら、プリミティブなダイナミズムに満ちたCiouのダークでキュートな世界をどうぞご高覧下さい。
 

Ciouプロフィール

1981年フランス/トゥールズ出身
2004年ニューヨーク Flux Factory galleryにて初個展。
パリ、バルセロナブリュッセルアムステルダム、シアトル、ローマなど各国で展覧会を開催。
La Poste, Morphik, Nookart, ArtsBd , Sony, L’Aubusson等の企業とのコラボレーション多数。
出版
2009年『Chat siamois』editor by Venusdea
2014年『Ciou collected art』Kochxbos Publishers
2016年『Thumbelina』edited by Scutella