ヴァニラ画報

ヴァニラ画廊 展示やイベント、物販情報などを随時発信していきます。

猫将軍展「DUNGEON」作家インタビュー

 

 

独創的でダイナミックな美学で、昆虫、動物、女性、宝石、食物などのモチーフを元に作品を描くイラストレーター猫将軍さん。独自の世界観で国内外から注目を集める猫将軍さんに今回の個展についてお話を伺いました。

 

ヴァニラ画廊(以下、V.)今回関東では初めての個展という事で、タイトルは「DUNGEON(ダンジョン)」と名付けていただいたのですが、このタイトルとコンセプトに決めた経緯はどうしてでしょうか。

 

猫将軍(以下、N.)これは展示する場所にヒントを得たタイトルです。2016年の「虚ろの国のアリス」展で、初めてヴァニラ画廊を訪れた時に、階段を下りた地下にあったので、まさにダンジョンのようでピッタリだと感じました。

 

V.そうでしたか。エレベーターも無い地下で申し訳ないです…涙。

ただ、場所にインスピレーションを受けていただいて派生した作品と考えると、とても嬉しい限りです。

 

 

f:id:vanillagallery:20180215133803j:plain

 

V.いつもは創作において、他にどんな形でインスピレーションを受ける事がありますか?

 

N.そうですね。映像からはあまりインスピレーションを受けることが少ないのですが、音楽を聞くとパッと浮かんできたりします。

音楽は洋楽が好きでThe Prodigyというバンドをよく聞いています。

 

 

V.猫将軍さんの作品は1作品ずつストーリー性があるように思うので、ビジュアルではなく、音からというのが面白いです。1作ずつ背景が濃厚に感じられる作品というイメージがあります。

 

 

N.そういったキャラクター性でいうと、まず先にビジュアルが浮かんで、描き込んでいくうちに内面が肉付けされていくというパターンがほとんどです。

 ただ、今回の展示作品である「SLIME(スライム)」は逆に設定から生まれたキャラクターなんです。

身体がスライム状で頭に牙のある骸骨が付いている作品なのですが、最初にスライムが食事する時は、食べる対象を溶かして食べるんだろうけど、それってすごく時間がかかるなと思ったんです。だから、消化しやすいよう先にかみ砕けたらいいんじゃないかという設定からこのキャラクターが生まれました。

 

 

f:id:vanillagallery:20180215153053j:plain

f:id:vanillagallery:20180215153111j:plain
 

 

V.今回は「DUNGEON(ダンジョン)」がテーマという事でクリーチャーや幻獣というモチーフを、猫将軍さんの独自の世界観で描くとこうなるんだなという驚きがありました。

 

N.すごくこだわっている世界観はないんですが、格好つけたいんだけど恰好つけすぎたくないというのがあるかな…。

なので、「ちょっと外す」ということは意識しながら描いています。

「KNIGHT(ナイト)」も甲冑とケーキという普通ならあり得ない組み合わせを一緒にしてある種のバカバカしさを演出することで、格好つけすぎないようにしました。

 

 

V.確かに、甲冑とケーキ…(笑)いや、言葉にすると笑ってしまうんですけれど、でもこの作品を見た時は格好良くて衝撃でした。

猫将軍さんの作品は他にも食べ物がモチーフになっているものが多いですね。

 

 

N.そうですね。私も食べる事が大好きなので、食べ物は“欲の象徴”として描いています

その他にも、“欲の象徴”としては、よく宝石もモチーフに使っています。

 

f:id:vanillagallery:20180215153122j:plain

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

V.今回の作品は特に黒が際立っていて、とても特徴的な色合いですね。

作品のカラーリングのこだわりを教えていただければと思います。

 

N.カラーリングについて、モノトーン部分とカラー部分はパキっと分けて、作品全体に色は乗せないようにすることでちょっと不安定な雰囲気を作り出せたらと思っていました。この「MANDRAGORA(マンドラゴラ)」も一見カラフルに見えますが、下のカップ部分は完全にモノトーンにしています。他の作品もそうですが、一種のコラージュのように見せたいという狙いがあるんです。

 

V.確かに実在感がとてもあって、でもどこか不安定でというこの感じは、様々な世界が色々混じりあって生まれているような気がします。

今回の作品は、全て描き下ろしの作品ですが、一番思い入れのある作品はどれでしょうか。

 

N.思い入れはそれぞれありますが、「DRAGON(ドラゴン)」は気に入っています。このダンジョンのラスボスとして描いたので、特に見ていただきたい一枚です。

 

V.この作品のラスボス感は凄いですよね。圧倒的な迫力があって勝てる気がしない…。

 

f:id:vanillagallery:20180215153129j:plain

 

f:id:vanillagallery:20180215153140j:plain

 

V.猫将軍さんはイラストのお仕事を多く手掛けていますが、仕事と個人の創作での心境の違いはありますか。

 

N.仕事はまず期待に応えないといけないというのが常にあります。創作は自分が好きで納得する絵を描けますが、注文されたものと自分の想像したものを描くのはかなり違います。どちらも同じなのは緊張感を持って描かなくてはと思っています。

 

 

V.最後に今後の展望や挑戦したいテーマなど教えてください

 

N.今回の展示自体が新しい試みだった部分はあります。普段は実在の動物や虫を描くことが多かったのでクリーチャーをテーマに展示をするのは初めてなくらいです。

今後も変わらず好きなものを描いていきたいというのが展望です。

 

 

f:id:vanillagallery:20180215153148j:plain

 

―――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

猫将軍展「DUNGEON」展示WEBページはこちら

'18/2/6 〜 2/18

猫将軍展「DUNGEON」 展示室A

入場料500円(展示室AB共通)

平日12:00~19:00 土日祝12:00~17:00