ヴァニラ画報

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展覧会特別トークショー カネコアツシ×寺田克也


11月24日展覧会特別トーク 
カネコアツシ寺田克也

 

展覧会2日目に開催された特別イベントでは、ゲストにカネコさんの漫画をデビュー作から知る寺田克也さんをお招きし、漫画について、絵について、画材やデジタル作画について、旧知の仲のお二人ならではの興味深いトークを始め、お客様からの質問タイムの時間などなど、充実のトークイベントとなりました。

その中で少しではありますが、お二方のトークの一部分をお届けします。

カネコアツシ展の導入として、そして鑑賞後の復習としてもお楽しみください。

 

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寺田(以下寺):俺がカネコアツシを初めて知ったのは、この一番最初の『ロックンロール以外は全部、嘘。』からなんですよ。ここに展示してありますけど。

 

カネコ(以下カ):その頃から?

 

寺:最初に雑誌で見て、単行本も買って。これは面白い人が出てきたなって。でもカネコ君はこれを言うとすごく嫌な顔するんですよ。

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カ:あれ見ちゃったのか〜って感じです。笑

 

寺:今回トークショーにあたって、『BAMBi』『SOIL』『Wet Moon』『デスコ』と全て30インチの大きな画面で読み返して見ようと思って、全部電子書籍大人買いしたのはいいものの、『BAMBi』の1巻しか読めませんでした。笑

そしたら、1巻目の1話がですね、そんなに上手くない。で、あれ?と思って。俺のイメージの中では「超上手い漫画家」カネコアツシだったんだけれど。あれあれ?と思って、でも、もう2話目から上手いんですよ。だからあれは1話目と2話目の間に何があったんだろうと思って。雷にでも打たれたんですか?笑

明らかに2話、3話目から線が慣れてきていて、1話目は相当緊張していたのかなって。

 

カ:多分なんですけど、筆ペンの使い方がよくわかっていなかったのかな?

 

寺:あれが最初の筆ペン?

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カ:それより前に『B.Q.』を筆ペンで描いてはいるんですけど、多分連載の一番最初なので、これでいいのかな?って迷いがきっとあったんだろうと思います。主人公が全面に出ていて、それも女の子がドンパチするような話って描いた事が無かったし、でもただ何となく行けそうな気がするという状態で始めたんです。

まだキャラも固まっていなかったり、そう言われると色々あったのかな…。こういった漫画らしい漫画を描くのが初めてだったので、自分の中で抵抗もあったのかもしれないですね。

寺:『BAMBi』でメキメキ上手くなって。カネコ君の持つ絵の巧さとストーリーの巧さが上手く回りだした感じで、やっぱり面白い作家だなと思っていたら、その後に描くものも、どんどん変わっていって。

 

カ:筆ペンに変えてから、自分がどんな絵を描きたいのか、どんな話が作りたいのかというのが、ちょうど同じ時期に見えてきたような感じがします。

それまでは本当に何描いていいのかわからなかったんです。漫画家になった、でも何を描いたらいいんだろうってずっと迷いながらという感じでした。

 

寺:でも道具に引っ張られるのはあるよね。

 

カ:そうですね。ちょうどこういう『BAMBi』のような無国籍感を出したい時に、筆ペンのこの線があって何とか様になったような気がしました。

 

寺:すごくグラフィカルでね。この線あってのカネコアツシという感じがこの時期はすごくします

 

カ:ロウブロウアートとか、アメリカンな感じが好きだったんですけど、それと漫画は違うものという意識はあって、でも吹っ切れてそのまま描いちゃえばいいじゃんと思って。

 

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デジタルについてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

寺:今はフルデジタルですよね。

 

カ:まず何でデジタルにしたかっていうと、寺田さんがFacebookiPadいいよってお勧めしていて。笑

Wet Moon』の頃から、ベタ塗りなんかの仕上げはデジタルで描いていたのですが、その後、液タブに行こうかどうしようか迷っている時期がありました。一番ネックだったのはとても大きい感じがしたんです。

 

寺:大きいから縛り付けられる感じはありますよね。

 

カ:その頃丁度、AppleStoreで、iPadを試して、これだ!と思って。

 

寺:購入から実際の導入までかなり早かったよね。

 

カ:思いついたらすぐ使ってみたくて。

 

寺:実際あのスピードで現場の仕事に持ち込める人は、あまり見たことがなくて、それだけ相性が良かったのだなと思いました。

 

カ:ただ1ヶ月くらいはアナログで描きながら、デジタルを練習をしていました。単行本の途中で絵が変わるのも嫌だったので、単行本の切れ目まで待ってデスコの6巻から変えました。目が疲れるとか単純なデメリットはありますが、僕には合っていたのかなと。

後、『デスコ』という作品の性質上、黒の表現が多かったので、黒の画面の上から白で描けるというのは表現の幅が広がりました。

 

寺:やっぱり白を残すのと、白で描くというのとは全然違いますからね。

 

カ:そうですね。すごく自由になったような感じがありました。寺田さんはiPad前と後とで大きく変わったことはありますか?

 

寺:違いはやはりあると思います。同じ画材ではないですからね。塗りなんかには如実に違いが出てるような気はしますが、最近は線に回帰している部分があって、前みたいに濃く塗ることをあんまりやっていない。この展示してある『Wet Moon』の表紙のような、線に対してぱきっとした色を使うのが、線の活かした一番の色面の使い方かなと思って。自分の中で色をタッチで入れていく描き方と、線の同居のさせ方がまだ完成されていないので、今はそれでいいやと思って線画を主体でやっていますが、またそれはおいおい変わってくるだろうなと思っています。

でもカネコ君と一緒で、道具としての軽やかさが、すごくいい影響をもたらしたと思っています。どこでも仕事できるしね。元々海外に出かけることが多かったので、一緒に持っていってそのまま仕事するというのが前より楽になりました。前は17インチのマックブックと小さいタブレットを持って行っていたんですが、機動性が明らかに変わってきました。それが自分に対しては大きなアドバンテージになっています。

 

カ:寺田さんも液タブはダメだった?

 

寺:うーんそうですね。カネコ君と同じ感覚だと思うんだけど、なぜか液タブには心が惹かれず…板タブの方が自由度が高くて。

 

カ:なんでだろう。

 

寺:さっぱりわからないですねえ。笑

 

カ:レスポンスは?

 

寺:レスポンスは言うほど気にはなっていなくて、どんな道具でも慣れるから、何か月かやってみて、自分で歩み寄ってみれば大体OKかなとは思っています。それしか無ければそれを使うけど、実際は使わなかったっていうのは、自分の中でどこか道具として重いんだと思ってしまったのかもしれません。スピードが遅いという意味では無くね。できるだけ軽やかなものが欲しかった。だからiPad proにpencilが出てきたときは、これはもういけると。

ただその前に3年くらい指でProcreateは散々使っていたので。最初は指で描いていてあまりピンとこなかったんですけどね。

 

カ:この人、指で描くんですよ!iPod touchの頃から、酒飲んでても描いてた。で、気が付くと凄い絵が出来上がってるんです。皆が飲んでる間に、こうやって修練を重ねているんだなって。笑

 

寺:なんかそれ病気みたいじゃん。笑 

でも感覚としては煙草吸ってるようなね、やっぱりアディクトなんでしょうね。

 

カ:本当、何してる時も描いているんですよ。このトークショーの前もここに来る途中の電車の中でデスコ描いてくれたり。

 

寺:もう出すの?話に詰まったら出そうと思っていたんだけど。笑

 

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寺:このデスコの「ばああああ」が好きでね。可愛いんですよ。

 

カ:可愛いでしょう?笑

話は戻りますが、そう常に描いているっているのは…

 

寺:でも漫画家の人に比べれば全然描いていないですよ。漫画家は強制的に描かされるじゃないですか。

 

カ:そう、今回個展をやりませんかと言われて、一番悩んだのは描き下ろしで何描こうという所なんです。

漫画家ってストーリーの為の絵しか描かないので、そのために必要な絵しか描いていないんですよ。描きたい絵を描いているわけでは全くなくて。だから好きに何でも描いていいですよと言われたら、何を描いたらいいかわからない。ノートがあって、電車の中で何を描こうか全然浮かんでこない。

それで寺田さんに相談したら、漫画家なんだから、漫画の大きなコマを描くような気持ちで描けばいいんじゃないと言われて。

キャラクターっていう自分の作った財産があるんだから、そういう絵を描けばいいんじゃないかと。もう目から鱗がボロボロ落ちました。

 

寺:落ちてたね。笑

いや、別に大層な事を言ったのではなくて、やっぱりそういう罠に引っかかる漫画家の展覧会は以外に多くて、大きなものを描こうとして。基本的には原稿用紙サイズにペンの比率で線を引くという作業をずっとされている方たちなので、突然大きな絵を描こうとすると、画角に対してどういう比率で線を引いたらいいかわからなくなる。だったらずっと描いてきていたコマを拡大する方がずっと力があるから。やっぱり漫画のコマの迫力は締め切りまでの勢いっていうのもあるのだけれど、その勢いにはかなわないところがあるから。

だから本当に漫画の中のコマを抜いて、でかくシルクスクリーンで引き伸ばせば?なんて話を適当にした気がします。

 

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カ:でもそれがすごく腑に落ちて、一枚のコマを描くような形で描いてみようと。急に無理して真似事をしてみても、それは真似事なので、やはりやっている事に連続性がないといけないなと思いました。今まで通りやってみようと。

漫画の媒体でも今までやってないことをやってみようとか、これは勝負がかかっているぞという局面って、大体冒険したくなるんですけど、そういう時こそいつも通りにやっている事をやらなくちゃいけないなと思います。

 

寺:そうですよ。それでいいんじゃないですか。

 

カ:何だか投げやり。笑

 

作品のテーマについてーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カ:あと考えていたのは、展示する為に480枚の原稿をチョイスしていて、ふと今までどのくらい描いたんだって考えてみてね、単行本だけでざっと考えてみたら9000枚描いているんですよ。でも自分は月刊連載しかしていなくて9000枚だから、週刊連載している人はどれだけ描いているんだって。

 

寺:でもカネコ君の場合はほぼ1人で描いているから。週刊の人はアシスタントを使って描かざるを得ないわけだけど。だから1人で25年間描いて、それが9000枚っていう重さと財産な訳で、そして今到達している場所になるわけですよ。

カ:ただ、寺田さんは俺の1京倍くらい描いているから…

寺:1京倍って中学生みたいなことを…笑

でも目的なく描くものはそれなりのものでしかないから。結局漫画は描きたくないコマを描かなくてはいけないからね、それが8割あって成立するものだから、俺みたいに飽き性の人には辛い作業なんですよね。

カネコ 寺田さんは漫画も1枚絵も両方描きますからね。漫画を描いているとチャンネルが変わるという事があるんでしょうか。

 

寺:変わらざるを得ないっていうのはありますね。描かされている絵になりますよね。描きたくもない郵便ポストを描かなくてはいけないし。

 

カ:描きたくもない電柱とかね…笑

寺:そう。で、どうそれから逃げようかって。でも逃げているとバレバレで、ああ!もうここ描かなくちゃって嫌々背景を描くっていうね。

そうなるともう1枚絵が描きたくてしょうがなくなるんだけど、1枚絵ばかり描いていると自分の描きたいものしか描かないから広がりがなくて、その広がりの中に自分はいつも対峙しなくてはいけないんですよね

カ:1枚絵になると、寺田さんは1つのモチーフを連続して描く事があるじゃないですか。エロメカガールとか。そこでやはり繋がりを持って完成度を高めていくという感じなのでしょうか。

 

寺:完成度だけ追っていくとタコ壺化していきますからね。自分が見たことないものになれば良いなと思って描いているけど、もちろん中々ならなくて。でも何かのはずみで奇跡のようなことが起こる事があるから、そうすると新しい角度が手に入ったなと思う。でもそれは奇跡であって、また同じ事はできないので。

それでも自分のテーマだからね。観る人にはそれほど関係なくて、自分のテーマを描くと同時に、見る人に面白がられるにはどう描けばいいだろうという2本柱があって、その気持ちは漫画描いている時と1枚絵を描いている時と気持ちは変わらないですね。

 

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カ:同じモチーフを追求していくっていうのは、無意識の方に期待している?

 

寺:それはある。自分も変わっていくでしょ。年取って若い時には持っていない視点とか知識とか、そういったものは絶対反映していくので。そこに自分の培ってきたものが反映されればいいなと思っているから、毎日が勝負みたいなところはありますよね。それはモノ作る人は皆そうなんじゃないかな。

でも作家が同じテーマを描き続けるのは当たり前のことで、漫画もそうだろうし。表面上が違うだけで、本質的な所は変わらないですよ。

 

カ:僕も自分では色々な漫画を描いていて、結局アプローチは違うけど同じものを描いているという所があって。最近気が付いたのは「コントロールできないもの」が描きたいんだなって。

『BAMBi』はわかりやすく主人公自体がコントロールできない存在だし、『SOIL』は全てにコントロールが効かなくなってくる。コントロールできない「世界」ですね。

 

寺:『SOIL』は絵すらコントロールできない描き込み様ですからね。

 

カ:あれは自分が描いたものではないような所があって、ストーリーの必要性に迫られて描かされている感じでした。

 

寺:そうでしょうね。あの絵になっちゃっているんだろうなと読みながらずっと思っていました。細かくしようとして細かく描いているんじゃないんだこれはって。

 

カ:ストーリーに引っ張られて、ストーリーに沿うような絵になっていきました。

 

寺:技術的にもそこにいったからあれが描けた感じですね。

 

カ:7年半かけてやっていたので、色々準備してきたものが後半やっと走り出して、それに引っ張られて描いたんだなと。今こうやって展示で見返してみると自分でもぞっとするような所はあります。

塩まみれの街を描きたくて漫画家になったわけじゃない…でも塩まみれという展開を考えてしまった以上、俺は塩まみれの街を描かなくてはいけないという。笑

 

寺:当時カネコ君は、裸で塩まみれで描いてたって噂が…笑

Wet Moon』や『デスコ』はあえてそこからシンプルな線に戻してますよね。そこらへんは何かあったの?怖くなったの?笑

 

カ:ちょとやりすぎたかなと。『デスコ』は白黒の美しさを描きたいと思ってあえてシンプルな線で描くようにしていたんですけど、iPad導入した時期からまた細かく描くようになってしまって、印刷されたものを見てこれはいかんと軌道修正しました。

 

寺:ほとんどの漫画家はデジタルを導入すると、拡大できるから線が細かくなっていって描き込みが増えるんですよ。最初はどうしてもそれをやっちゃうんですよね。

ただ道具は道具で便利な方に寄って行くんだけど、道具に依存はしたくないから、どっかでいつでもアナログに戻れるという思いがあった方が、道具と距離を置けるのでいいですよね。

 

カ:そうですね。たまにはやんなきゃなって思います。展示用のベタ塗りは辛かったですけどね。こんなに地道な作業をしてたのかって。ここに展示してある『Wet Moon』は、仕上げはデジタルでやっていたので、展示用にベタ塗りをやり直しました。

先程の話に戻ると、『Wet Moon』は自分が一番信用できなくて、コントロールできない「自分」。でも『Wet Moon』は日本ではあまり人気が無くて…

 

 
寺:でもフランスでは大人気じゃないですか。漫画を読む層が向こうは広いし、読み方も全く違いますしね。
 
カ:だから、反動で表向きはエンタテイメントの単純なストーリーの中に、同じように余白を作って抒情的な話ができるんじゃないかと思って、作ったのが『デスコ』だったんです。『デスコ』も、コントロールできない「運命」をこういう形で描いたんだなと。
読む人はエンタメだから楽しんで読んでもくれるし、深く考えてくれる人は考えてくれる。
 
寺:カネコアツシ、成長し続けているじゃないですか!作品ごとにテーマをね、きちんと設定して作れるのは凄い事ですよ。
 
カ:途中から気付くんですけどね。笑 最初から俺は「運命」を描くんだ!ではなく、デスこというキャラクターがいて、殺しの話を描こうとぼんやり思っていて、それがどういう形の話かと考えると、あ、俺はこれが描きたいんだと。
 
寺:大体の漫画家はそうですよね。最初はキャラクターがカッコイイと思って、キャラクターをチョイスするけど、実はキャラクターをチョイスする時点でその人物が生きようとする世界を描こうとしてることになるから。それ自体は作家が単純な事を考えていない限りは、単純なものになりえないですよ。どうしたってキャラクターが動けば動くほど、その世界の複雑さが顕著になっていきますよね。

 

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寺:『デスコ』はもう描き切った?もう少し見たいんだけど。もちろんこれはファンの意見ですけどね。

 

カ:もう少し描きたいエピソードは残ってたんですけどね。

 

寺:『SOIL』や『Wet Moon』と違って、『BAMBi』や『デスコ』はね。やっぱりキャラクターを描いてしまうと、どうしても愛してしまうからね。

 

カ:『BAMBi』の後に『BAMBi零』を描いて、これいくらでも描けるなと思ったんですよね。で、キャラクターに惚れこんで夢中になったくらいで終わるくらいがちょうどいいのかなって。

 

寺:一番愛してる時に別れるのが一番いいのかもね。

 

カ:それ以上描くと、キャラクターを愛しすぎるから話がつまんなくなっちゃう部分はあるんですよね。

BAMBiの時もちょうどいいくらいで終わってくれたと思いました。テンションがマックスの時に終わる感じですね。

 

寺:美学ですね。カネコ美学。

 

カ:だから今回久しぶりにバンビを描き下ろしで描いて、ずっと自分の中にいる人みたいで嬉しかったです。

 

そもそもなぜ漫画家に?ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

寺:そもそもなぜ漫画家という選択を?

 

カ:結構色々な所で言ってるので、今更ながらなんですが、大学の卒業見込みが出なかったからです。

 

寺:なるほど。それは21くらい?

 

カ:そうですね。単位が足りなくて、卒業見込みが出ないから就職活動ができなくて、さあ俺はこれからどうやって生きていこうかと思った時に、最初は映画が好きだから映画の世界にと思っていたんですけど、日本の映画の世界は保守的に見えて…

 

寺:ディスりが入ってきました。笑

 

カ:かつてはね、…映画業界の事を色々聞いたものだから、それは嫌だなと思って、そういえば小学生の頃に漫画描いた事あったなと。絵も好きだし、お話考えるのも好きだし、漫画だと。

 

寺:でも小学生の頃でしょ?どんなの描いていたの?

 

カ:ギャグマンガですよ、よく小学生が描くやつ。

 

寺:それ受けてた?

 

カ:俺より売れっ子の作家がいましたね。笑

 

寺:あ、やっぱり。俺もいました。そいつがいると自分のつまんなさがどんどん引き立っちゃうんだよね。

 

カ:そいつにはコンプレックスを抱きまくりでしたね。

 

寺:俺も俺も。

 

カ:自分はギャグマンガなんですけど、そいつの描くものは狂気なんですよ。もうすでに。笑

 

寺:いるいる。ただ、そういうやつは続けないんだよね。軽くそういうのを飛び越える奴は、普通にサラリーマンやってたりする。話を戻しましょうか。そこから全然描いていなかったのに?

 

カ:そうですね。自宅で寝転がってて、そうだ漫画家になろうって。

 

寺:漫画みたいですね。笑 原稿用紙を買ってきて?

 

カ:まず一番初めにしたのは「漫画の描き方」っていう本を買ってきて。

 

寺:そこから?笑 でもやっぱりちゃんと始めちゃう人はいつだって凄い。ここに展示しているデビュー作は描き始めてから何本目の作品なの

 

カ:4本目くらいかな?最初に新人賞に送って、佳作かなんかをとって、よし俺は漫画家だと。でもその後も持ち込みをするんですけど、全然ダメ。賞は取れるんだけど、ネームを持っていくと全然ダメ。要するに編集さんとの相性があって、持って行ったものはダメだったけど、話をして「ロックンロール以外は~」の話をしたら即採用になって…

 

寺:仕事は最初は自分では選べないからね。でもこれ4本目にしてはね、最初にも言いましたけど、俺は当時これを読んで、この人は相当うまくなるって思いましたよ、偉そうな言い方しましたけど。
明らかにもっと描くとうまくなるっていう絵だから、描いているものが逃げていないし。描けないものから逃げる作家の感じはわかるから。でもこの人は全部のコマをストーリーに合わせて描いてるって。
 
カ:漫画の描き方を知らなくて、技法に逃げられなかったというのがあるんです。学ぶのを拒否していたっていうのもあったのかもしれないですね。自分なりに煙の表現とか炎の表現とかを模索して描くから時間もかかるし…
 
寺:それが今のカネコアツシカネコアツシ足らしめているわけですよ。今回初めての個展にあたって、昔の原稿を見返してどうでした?
 
カ:改めてみると描かされた感が強いから、よくこれ描いたなと思いました。特にどの漫画もストーリーの後半部分は、よく描いたなと。漫画だから、漫画だからこそ、この絵が描けたんだなと今では思います。
(2018.11月24日)
 
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展覧会は12月29日(土)まで!

カネコアツシ“初”原画展
Atsushi Kaneko “First” Exhibition「SEARCHANDDESTROY」
2018年11月23日(金・祝)→12月29日(土)展示室AB 会期中無休 入場料500円
https://www.vanilla-gallery.com/archives/2018/20181123ab.html

 

会期中イベントも残り2つ!

★特別イベントライブ原稿描き
※チケットは必要ありません。

12月15日(土)営業中(12:00~17:00)
(カネコ先生が画廊内でお仕事します。ipadでの原稿は会場内のモニタでご覧いただけます。
展覧会も通常通りご覧いただけます。)

★展覧会レセプション
※チケットは必要ありません。

12月23日(日)17:00~19:00
(どなたもご参加いただけます。展覧会も通常通りご覧いただけます。)

 

この度、ヴァニラ画廊では漫画家カネコアツシの初原画展を開催いたします。
カネコはデビュー以来、漫画作品「BAMBi」、「SOIL」、「Wet Moon」、「デスコ」を始めとした、多くの傑作を発表し続け、またイラストレーターとしても活躍しています。
画面の中に緻密に構成された作画は、ダイナミックな構図の中に、バイオレンスとエレガンスを内包するグラフィカルな作風、そして実験的かつエンタテイメント、不条理に彩られ、真理をつくストーリーテリングで国内外の多くの熱狂的なファンを魅了し続けています。
今展示では、デビュー作原画から展覧会の為の描き下ろし最新作まで一挙大公開!
また、アナログ制作からデジタル制作まで、これまで手がけた仕事を俯瞰する展示構成により、その唯一無二の世界観に迫ります。

作品販売(展示物一部)や展覧会グッズ、人形作家によるオマージュ作品も有り!会期中にはトークイベントも開催予定です。
この貴重な機会をどうぞお見逃しなく!

 
カネコアツシ
マンガ家。著作「BAMBi」「SOIL」「Wet Moon」「デスコ」など。
最新作は手塚治虫どろろ」のトリビュート作品「サーチアンドデストロイ」(マイクロマガジン社「テヅコミ」連載)。
イラストレーターとしてもCDジャケットなど数多くの作品を手掛ける。
オムニバス映画「乱歩地獄」の一編「蟲」(原作/江戸川乱歩 主演/浅野忠信)では脚本、監督も務めた。
著作はフランス語、イタリア語、スペイン語、ドイツ語に翻訳され、出版されている。
Wet Moon」フランスBD批評家協会賞2014アジア部門グランプリ受賞。「SOIL」サンマロ文学祭GRAND PRIX DE L’IMAGINAIREマンガ部門グランプリ受賞。アングレーム国際漫画祭2012、2013、2015ノミネート。「デスコ」文化庁メディア芸術祭2015審査委員推薦作品選出。

 

 

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