高橋邑木個展「Humanimal」作家インタビュー
人間(Human)と動物(Animal)が融合した新たな生き物を表す造語、それが高橋邑木さん2回目の個展となるタイトルの「Humanimal(ヒューマニマル)」。人体と生物の境界線が曖昧な新たなる世界を、高橋さんは陶磁器で制作します。
「日常に寄り添うアートを創りたい」と、オブジェから花瓶、アクセサリーと様々な作品の制作に取り組む高橋さんに、今回の個展の制作秘話を伺いました。
ヴァニラ画廊(以下、V.)2016年11月に開催した個展「進化≠変化-人体と生物の融合-」から約1年半経ち、今回も全て新作で2度目の個展になります。
中でも壁一面に並んだ陶器の心臓のシリーズは圧巻ですね。
高橋邑木(以下、T.)この心臓のシリーズは、前回の個展からの連作となります。今回は爬虫類との融合をテーマに制作しました。中でもイモリやカメレオンなどと心臓の組み合わせなどがご来場いただいた方にご好評いただいております。
V.焼き物ならではの独特の質感が、爬虫類の質感、深い色合いが織り交じり、大変印象的です。
高橋さんは、いつ頃から動物と人間が融合するスタイルを発表されているのでしょうか。
T.2016年に初めての個展を開催する際、何をテーマに作品を制作すべきかと考えたときに、図鑑などの資料を眺めながら、自分の焼き物のスタイルを、好きな生き物たちに組み合わせたいと思って制作を始めました。
ただ陶器で正確に模倣するのは、他にも様々な作品がありますので、自分の作品として発表する形としては、幼い頃から好きだった解剖学をモチーフに制作を行おうと思いました。
V.今回の個展での新作は、心臓型の容器に花を活けることができる一輪挿しを多数発表されていますが、これらも高橋さんのセンスが光るユニークなアイディアだと思いました。
T.前回までは、これらの心臓をひとつひとつの箱に詰めて「標本」のようなイメージを強く持たせましたが、今回の「Humanimal(ヒューマニマル)」では日常生活に使用できるもの、生活の中に飾ることができるものを作ることに努めました。
今回のような作品は、学生の頃から携わっているアートプロジェクトに影響を受けています。
プロジェクトの目的は「日常にアートを定着させる」ことで、美術館やギャラリーではなく、自宅やレストラン等、日々自分が生活する場所にいかにアートを根付かせるかという事です。
活動では美容室やレストラン等の日常私たちが使用するお店と提携して、それぞれの店舗に4ヶ月に1度のスパンで新しい作品を飾ってもらっています。
この活動を通じて、今回のような生活と直接繋がるような作品が生まれました。
V.確かに、今回の高橋さんの作品は自分の生活の中で、季節の花を活けたり、アクセサリー類は出かける際にお供にする等、パートナーのような愛おしさがあります。
また今回、写真を使ったインスタレーションにも挑戦されていますね。
T.写真を使ったインスタレーションもイメージを覆す試みです。作品に触れても濡れても大丈夫なものだよ、とビジュアル面からも伝えたいと思いました。
これらの写真のポージングはモデルさんにお任せしていて、皆さん自由に心臓のオブジェを胸元に持って行ったり、握りしめたりして撮影に参加してくれました。中でも子供が写っている写真は気に入っています。子供が大人と同じオブジェを持つと、全くスケールが異なって別のものに見えたりします。同じものであるのに、違った見え方がすることも作品を楽しむ醍醐味なんだなと感じました。
V.これらの心臓をモチーフにしたシリーズは今後も展開される予定ですか。
T.はい。今後も心臓シリーズは続けていきたいと考えています。
今回は爬虫類との融合を生み出しましたが、別のの動物と組み合わせてみたり、割れている形などを作ってみたり、極端に大きなサイズを作ってみたり、色々と挑戦してみたいと思っています。
進化し続ける高橋さんの作品は2/18までご覧いただけます。
この機会を是非お見逃しなく!
高橋邑木個展「Humanimal」展示WEBページはこちら●
'18/2/6 〜 2/18
高橋邑木個展「Humanimal」 展示室B
入場料500円(展示室AB共通)
平日12:00~19:00 土日祝12:00~17:00
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