愛実人形展「LUST」特別インタビュー
愛実人形展「LUST」作家インタビュー
現在ヴァニラ画廊では人形作家の愛実さんの個展を開催中です。
愛実さんの人形作品は圧倒的な力強さと存在感と共に、その瞳には、そこはかとない諦念や、咆哮する慟哭が宿っています。
4年ぶりとなる個展では、総数17体の作品を出品中です。
今回の個展について、愛実さんにお話を伺いました
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ヴァニラ画廊 以下、V
愛実さんはいつ頃から、こういった創作人形を作り始めたのでしょうか。
愛実 以下、A
作品を制作し始めたのは、きっかけがあり、2004年に東京都現代美術館で開催された「イノセンス・球体関節人形展」を見てからです。
ちょうどその時期に、仕事が終わるのが遅い時間で、家に帰った後にテレビをつけると、ちょうど攻殻機動隊のアニメが終わる時間帯でした。
攻殻機動隊は全く知らなかったのですが、その終わりの時間帯に何度も「イノセンス・球体関節人形展」のCMをやっていて、吉田良先生や、四谷シモン先生の作品をぼんやり見ていました。
どうやら人形展をやっているらしい…と。
それまでは人形といったらリカちゃん人形の知識しかなかったのですが、ちょうど仕事の暇な日、ふとその展覧会の事を思い出して、足を運びました。
それが展覧会の最終日でした。
初めて見た球体関節人形の世界で、何かを表現している人形たちにとても感動して、これが欲しいではなく、私も作りたいと思ってしまいました。
あの時展覧会を見に行かなかったら、多分創作活動もしていないし、こういった人生を歩むこともなかったかと思います。(笑)
その時に見た作家さんで、とても強く惹かれたのが吉田良先生でした。
それで吉田先生の教室を探して、教室に通う申し込みをしたのですが、入るまで約半年ほど順番待ちでした。私と同じ思いの人がたくさんいたようです。(笑)
V そこで初めて人形制作を始めたのですね。
A 本当の意味で一番初めに作ったのは、教室に入る前に半年くらい時間があったので、その間に独学で1体作っていました。
色々と試してみたのですが、鉄人28号のようなロボットのような、人形らしきものが出来上がりました。(笑)
V 吉田先生の元で初めて制作した人形は、目が乳白色で蒼黒い肌の人形だとお聞きしたのですが…。
A 当時は先生に一生懸命、目を白くするにはどうすればいいのかと聞いていました。今回展示してある中で、2、3体目くらいに制作した人形作品もそのイメージに近いですね。
V 愛実さんの作品は、ビジュアル面でもほの暗いイメージが強いのですが、本質的な部分でそういった嗜好なのでしょうか。
A いや、あまりよく自分ではわからないのですが、自宅にあったダリやムンクの画集はよく見ていました。
後、海の図鑑の中では深海魚のページが特に好きだったので、具体的にはお伝え出来なのですが、そういった暗いイメージに惹かれる傾向はあったのかもしれません。
V 今回のメインの作品も、人の形をしていますが、何か人ではないようなオーラを放っていますね。
A この作品は色々な意味で、境界線上に立っているような作品にしたかったからでしょうか。
製作していくうちに、感情や存在の境界線に佇んでいるような人形のイメージを強く抱くようになりました。
V 立体は形として制作するので、特に境界線上の表現は難しいと思うのですが、愛実さんの作品はその境界を壊してくるようなインパクトがあります。
この手足が黒い人形もそういう意味合いが強いですね。
A そうですね。人体が統一されていない事で、ヒトガタと相反するものをこの作品に投影している部分はあります。
V 確かにこういった表現は、愛実さんの生き人形のようなリアルさがあるからこそ映えるものだと思います。
A 勢いだけでは作り切れない部分が多すぎて、表現するにはどうしても技術が必要です。
まだまだ勉強中の身ですが試行錯誤していく先に、作りたいものがなんとか作れるようになってきました。
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V 今回の展覧会のタイトル「LUST」ですが、これは愛実さん自身の人形作品を作りたいという欲求の意味なのですね。
A 人形を作りたいという欲求のサイクルがずっと途切れることなくいるのはどういうことなのだろうと自問です。
オブジェから人形から繰り返して制作したいというサイクルをずっと繰り返しているので。
ただずっとそのサイクルの中にいるというのは飽きっぽいからかもしれませんが…。
V 全然飽きっぽくないですよ!(笑)
今回は新作が5体、過去作も含めて17体の作品から、愛実さんの創作をより深く感じる事ができるのではと思います。
A 是非楽しんでいただければと思います。
(2017.9月27日)
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愛実人形展「LUST」
2017年9月26日(火)〜10月7日(土)展示室B 入場料500円
(展覧会室AB共通)平日(月~金)12:00~19:00 土・日・祝・最終日:12:00~17:00
(会期中無休)
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2017/20170926b.html
人形を作りたいという強い気持ちが湧き上がってきます。何処から来るのでしょう?この強い欲望は…。
人形作家愛実の2回目の個展を開催いたします。愛実の制作する人形作品は圧倒的な力強さと存在感と共に、その瞳には、そこはかとない諦念や、咆哮する慟哭が宿っています。前回の展示では、等身大の大型作品を始め、痛ましさと切なさを内包する作品を発表し、注目を集めました。4年ぶりとなる個展では、5点の新作を含む作品を展示いたします。今最も注目を集める人形作品をぜひお楽しみください。
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愛実プロフィール
2004年 人形教室ドールスペースピグマリオンへ。吉田良氏に師事。
2013年 個展「release」ヴァニラ画廊
2014年 「ima展」ホルベイン賞受賞
2016年 「幽霊画廊Ⅲ展」ヴァニラ画廊
「幻獣神話展Ⅲ」Bunkamuraギャラリー
「Doll’s Show」六本木ストライプハウス
「人・形展」丸善・丸の内本店
「ima展」東京都美術館
2017年 「Borderless Dolls ヒトガタのなかの7つの世界」FEI ART MUSEUM YOKOHAMA
「村崎百郎UMA展」ギャラリーソコソコその他グループ展、企画展多数参加。