愛実展「release」特別インタビュー
愛実展「release」
等身大の新作は、ゆっくりとたおやかにその肌を腐敗させ、屹立するような足元にはその動きを制限するような仕掛けが施されている。身体からは香り立つような絶望を、しかし、その瞳は全てを受け入れるような優しさと恍惚に満ちている。
現在ヴァニラ画廊で開催されている愛実展「release」、等身大の球体関節人形から大型のトルソ作品、そして今まで作家自身が撮りためてきた写真作品まで、作家の近年の創作活動を俯瞰できる展覧会です。
作家ミニインタビュー
◆愛実さんが人形の制作を志したのは何かきっかけなどあったのでしょうか。
愛実:10年くらい前に東京都現代美術館で開催された「球体関節人形展」を観に行ったことがきっかけです。
「イノセンス」はあまり知らなかったのですが、丁度深夜のCMで展示の事を見て、展示終了間際に観に行きました。吉田良先生の作品に衝撃を受けて、先生の教室を見つけて通うようになりました。
◆愛実さんの作品はいわゆる可愛らしい人形では無く、痛みに満ちた表現が多いと感じるのですが、
最初からこのような作品を制作されていたのでしょうか。
愛実:そうですね...、「球体関節人形展」で観た作品たちは「人形」らしい可愛らしさを追求していくよりも、各作家さんの表現の媒体としての「人形」でした。私も当初からその思いが強かったのでしょうか、一番初めに制作した作品はうっすらとしたブルーの肌の作品でした。
◆その作品も写真で拝見することが出来るのですね。作品写真もご自身で撮られているのでしょうか。
愛実:そうですね、全ての作品を自分で撮っています。制作~写真を撮ってようやく作品が完成するといった感じです。生きていないただのものから、生きものへ変わる瞬間が写真を撮る時だと感じています。
今回はずっと撮りためてきた写真作品も展示しています。
◆今回は初個展という事で、大作揃いですね。見所を教えて頂けますか?
愛実:この展示にあわせて新作3体を制作しました。等身大で手足まできちんと揃っているのは初めてです。
何か新しい事に挑戦したいという思いから生まれた3体です。
自分の色を出しながらも、見てもらう方に通じる言葉を持った作品を制作したいと思っています。
是非色々な方に見て頂きたいと思います。
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愛実さんありがとうございました。
新作・旧作含めてその瞳に魅入られてしまう作品揃い、思わず時間を忘れてしまいます。
ゆっくり時間をかけてご堪能下さい!
展示は10月10日(木)まで、どうぞお見逃しなく!
'13/9/30 〜 10/10 愛実展「release」展覧会B室