ヴァニラ画報

ヴァニラ画廊 展示やイベント、物販情報などを随時発信していきます。

グディーン・グリーン写真展開催中!

2011年にヴァニラ画廊にて展示を行い、斬新でアンダーグランドなレズビアン・シーンを刻み込んだドイツのGoodyn Green(グディーン・グリーン)。アンドロジナスな女性のポートレート、ゲイポルノをオマージュし、性をユーモアで飛び越えていく前作は、多くの女性の心を捉えました。

今回、彼女が新作として発表するのは"The Log Book"と題されたシリーズです。

作品が到着して驚きました。

前作とはがらりと趣が変わり、恋人たちの穏やかで愛おしい時間がそこにはありました。

愛する人がいるならば、必ず共感する部分を感じる事ができるその写真作品。またしても性を軽やかに飛び越えるgoodyn greenの新作を是非ご堪能下さい。

 

"The Log Book"

"The Log Book"は、グディーン・グリーン自身が、被写体となるクィア女性の仮想的な恋人を演じ、その目で見る彼女達と自身との時間をドキュメンタリーのように 撮影した新作シリーズです。

「この"The Log Book"というタイトルは、ある種のカレンダーのように、モデルたちと私との恋人としての時間・私の(仮想的な)性的体験をリスト化したものを表現して います。

このアイディアは、私たちがよく目にする普通の男性が撮影した恋人の裸の写真(女性像)からインスピレーションを受けました。

女性が「女性の恋人」を撮影した写真はあまり目にすることがありません。私はその視点から新しいシリーズを制作しました。

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私が若いレズビアンだった頃に見たエロティックな写真は、全てストレートの女性を写したもので、私はその写真に満足した事はありませんでした。

モデルがストレートの女性では、その写真に対するエロティックな願望やファンタジーもあまり持つことが出来ません。

 

この体験から、この夢のある仮想ドキュメンタリーの中では、クィア女性を撮ることが私の中でとても重要な点となりました。

クィア女性によるクィア女性のためのこの作品を、全てのクィア女性に捧げたいと思います。

エロティックで甘美な夢をあなたの心にもたらすものであってほしいと願います。」

Goodyn Green

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会期   ■ 2014年6月2日(月)~6月14日(土) 展覧会期中無休

会場   ■ ヴァニラ画廊 展覧会室B(〒104-0061 東京都中央区銀座8-10-7 東成ビルB2F)

営業時間 ■ 月~木12:00~19:00

       金   12:00~20:00

       土・日12:00~17:00

入場料  ■ 500円 同時開催中の「リーランド・ボブ展」もご覧いただけます。

URL    ■ http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140602b.html

伊藤啓恵展「親指幻想」インタビュー

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白い何かの集合体が、渦を巻くようにレリーフの中に納まっている。
なんとそれは全て親指!

親指をモチーフに制作を続ける伊藤啓恵さんに、制作に付いてお聞きいたしました。

 

VA:伊藤さんの作品制作歴に付いて、教えて頂けますか?

I(伊藤):2004年より親指をテーマに制作しています。
初めは親指の絵を描いていたのですが、粘土などを手でこねる作業が楽しくなり、2008年ぐらいから立体作品を作るようになりました。

VA:(いつも聞かれていると思いますが...)なぜ、親指にこだわり制作されているのでしょうか。

I:私は、愛を親指という形で表現しています。きっかけは、何を描いたらいいのか悩んでいたとき、当時習っていた尊敬するピアノの先生の一言でした。大切な人の一部をパッチワークのようにいっぱい繋げたら面白いかも、そこには愛があるからスゴイ物が出来そうよと。

VA:伊藤さんの中で、「愛」をテーマに作品制作を行い、その形として「好きな人の親指」をモチーフにしているのですね。

I:目でも耳でもなく、指にしようと思いました。指は指でも他の形とは異なる親指を!親指は、1本だけ横についており、私にはちょっと変な形をしているように思います。物をつかんだり、筆で絵を描いたり、かなり重要なポジション。すごく必要な部位。それをテーマにしたら面白いと思い始めました。そんな親指を、たくさん作り作品にし、愛を感じようとしています。

VA:作品の中で、親指が痛めつけられている表現もありますが、なるほどあまり「痛み」を感じないのは、愛おしくて仕方がないといった意味合いでの加虐性を感じるからかもしれません。
ちなみにこの親指は誰かの親指の型どりなのでしょうか。

I:"大切な人" の型どりです。

VA:今回の新作も親指が所狭しと画廊内に並びますね。今回の個展の見所を教えて下さい。

I:最近は、背景にカラーの円をランダムに広げていく感じのものを作っています。円を描いているとなぜか心が落ち着き、無の状態になり、瞑想をしているような心地良い気持ちでずっと円を描いていたくなるのです。円と親指を織り交ぜて、宇宙空間のようなものを表現できたらと思っております。いつも見慣れている親指を、この大量の親指で現実を離れ、異空間の幻想の世界を感じていただけたらうれしいです。

 

愛するものの断片を並べて蒐集したいという、人の心の奥底の願望を炙り出すような、衝撃的な作品の数々。
一見グロテスクで猟奇的とも見えるが、ずらりと並んだ親指を眺めていると、「強迫観念」や「執着」といった感情よりも溢れるような「愛情」を強く感じます。

伊藤啓恵展「親指幻想」は5月19日(月)〜5月31日(土)まで、是非足をお運び下さい。
http://www.vanilla-gallery.com/archives/2014/20140519a.html

 

 

愛を親指という形で表現しています。
その親指を自分だけのものにしたいという思いで、たくさんの親指を作品にしています。
そして、自分の作品を繰り返し触れ、見つめる時、親指のあなたを感じることができるのです。

伊藤啓恵

静岡県浜松市出身
2000年より、はままつ美術研究所にて学び、2004年親指をテーマに制作。

2009 「第1回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・UNDERGROUND hair salon)
2009 個展 「Big finger」
(浜松市・passeretti café)
2010 「第2回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・UNDERGROUND hair salon)
2010 「第3回HAMAビエンナーレ」出展
(浜松市・クリエート浜松)
2011 「第3回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市ビオラ田町)
2012 個展 「SWEET FINGER」
(浜松市・passeretti café)
2012 個展 「収集」
(豊橋市・アートエイジギャラリー)
2012 「第4回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・鴨江アートセンター)
2012 「第4回HAMAビエンナーレ」出展
(浜松市・クリエート浜松)
2013 「ヴァニラ画廊公募展」出展
(東京銀座・ヴァニラ画廊)
2013 「第5回アートルネッサンスin浜松」出展
(浜松市・鴨江アートセンター)

川上勉展「Sleeping beauty」ー美しく柔らげな死相を浮かべる娘たちができるまでー

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目を大きく見開く「medusa(メデューサ)」

一度、目が合ってしまったならばもう二度とは動けなくなる伝説の怪物が、どうしてもこんなにも柔らかで、そして深い哀しみに包まれた表情を浮かべるのでしょうか。その秘密は製法と川上の「死」に対する特別な衝動に隠されていました。

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川上の今回の出展作品は全て漆で制作されています。漆の像と聞いて、奈良時代興福寺の阿修羅像や東大寺の不空羂索像を思い浮かべる方も多いはず。川上の作品はこれらの時代の仏像とほぼ同じ乾漆で制作されています。粘土で土台を作った上に漆を浸した麻布を覆い固め、長い時間をかけ乾燥させた後、中の原型を取り去り彩色を施し、作品が完成します。

乾漆造の特徴として金属や粘土が使われないため、非常に軽いことがあげられるでしょう。このことが第一回ヴァニラ画廊大賞奨励賞作品でもある「macabre」(2012年)のように"骨で自立する娘"といった豊かなイマジネーションをかたちにすることができるのです。

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なぜ、ここまで手間や時間をかけた製法で、川上は「死」を具現化するのでしょうか。その衝動ともなる「死のイメージ」への想いを伺いました。

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私が今回の個展で展示したような、「死」を連想する作品を作りだしたのは5年ほど前からです。

それ以前は、同じ漆を用いた制作技法でしたが、現在の作品に比べると、もっと伝統的なスタイルで人間の内面性や精神性を表現していました。

それがなぜ「死」をテーマに作品を作るようになったのか。

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ごく身近な所に生まれた生命が、私に「死」を強く意識させるようになったことが、その理由のひとつ。

もうひとつの理由は、彫刻という物体や、それを形作る物質で生命を表現することに違和感を感じてしまったこと。

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私は、これまで私が探求していた人間の表現が偽りに思えてならなくなってしましまい、

生命表現のない人間の表現」 そして 「死の表現」に人間表現のリアリティを見い出したのです。

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川上勉展「Sleeping beauty」(展示室A/入場無料)は3月1日まで。

乾漆造が引き立てる世にも奇妙で、美しく柔らかな死相の娘たちをぜひともご高覧下さいませ。

 

 

川上勉展「Sleeping beauty」

「死」のイメージを、思いつくままに造形してみた。

メメント モリ」を表現しようとした訳ではない。

ただの、物体としての人を表現したかった。

わたしは、命の表現より死の表現に惹かれる。

わたしは「死」を美しく表現したい。

それは、「死」に対する内なる恐怖心の表れかもしれない。

 

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平日の営業は12時から19時まで(金曜日は20時まで)、

最終日は17時までの営業です。

INSIDE artzine展

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入場料500円

Jenz Dieckmann / Seth Siro Anton / Ben Newman / Trëz Orb / Mark Powell

ドイツ発の世界でも類稀なるダークアートマガジン、「inside art zine」のメインビジュアリストによる日本初のグループ展示を開催いたします。

ドイツで「inside artzine」を立ち上げた Jenz Dieckmannが中心となり、ギリシャから人気バンド「SEPTIC FLESH」を従え、稀代のダークアートを放つ「SETH SIRO ANTON」、イギリスからはユーモアとエロティシズムあふれるダークファンタジーを展開する「Ben newman」そしてフランスからは、甘美な痛覚を刺激する退廃的な作品「Trëz Orb」を迎えて、ダークアートの神髄を極める衝撃的な作品を多数展示販売いたします。

 

「inside artzine」のJenz Dieckmann氏に、話を伺いました。

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 ダークアートと評されるもの、例えばドイツ初期のロマン主義者Caspar David Friedrichの絵画は大きな脅威を人々に齎し、John Heartfieldの作品には、ダダイスティックな挑発があり、そしてH. P. Giger作品には拭い去れない不安と不条理を感じるでしょう。

 これらの作品にはひとつの共通性があります。それは観客に何かをもたらすという点です。ダークアートを自ら好んで見たい人はそれほど多くはいないと思い ます。中には見る事によって拒絶反応を催す人もいるでしょう。しかしダークアートは私たちに強烈な印象を残し、私たちを思考停止のまま放置することはあり ません。

 わかりやすい厭わしさや暴力性、タブーの破壊といった禁忌は、今日身近なマスメディアでも簡単に取り扱っている程、私たちの周りに溢れています。その中 で、何が私たちの心をとらえるのか、考えなくてはなりません。私たちが月の暗面について思いを馳せる時、月の美しい面の側面に大変な醜さを持っている事を 目の当たりにするように、醜さと美しさの差異と取り払ってしまうのが、アートの力だと思っています。そしてさらに、アートは全ての人の心に眠る混沌への恐 怖を呼び覚ます力を持っていると感じるのです。叩き付けられるような衝撃と動揺は、私たちを混乱させるとともに非常に魅力的でもあるのです。

 私が「inside art zine」に掲載する作品は、読者をより深淵へと導くようなものを選択してきました。醜さの中に美しさがあり、その逆もまたしかり、個々人のそれぞれの深淵を見出して頂きたいと思います。

森田一朗コレクション アメリカン・コラージュ~アメリカのかけらを探して~

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 アメリカのかけらを集めた奇想天外なコラージュ作品。
1900年代の(およそ100年前)のポストカードや雑誌、マリリン・モンロー、ジュリー・ガーランドミッキー・ルーニーの『ワーズ・アンド・ミュー ジック』、ネイティブアメリカンリンカーン、映画『Star Wars』、奇術王ハリー・フーディーニ。アンディー・ウォーホールは再度コラージュ!ベティ・ペイジマーロン・ブランドのその微笑みを、森田が額に閉 じ込めた。

誰もが憧れ欲しがる、額に封じ込められた夢のアメリカン・コレクション全36点!

<森田コラージュ>賛江  千本健一郎(ジャーナリスト)  

 マリリン・モンロー、見知らぬネイティブアメリカン、そして寝静まった大都会の姿......。米国大陸の近現代の断面をほんのちょびっとのぞいただけで、強烈な「アメリカの風」が吹きつけてくる。  

68年前に大戦が終わって突如、黒やら白やらの米兵に出くわしたときの衝撃は、それほどに深く私たちに沁みこんでいる。  

「自由」だ、「民主主義」だと、気前よくばらまかれる「アメリカ文化」というヤツは、どれもこれもが新奇さに満ちていた。映画も、野球も、ご本尊の英語も。はては食糧、医薬品といった慈悲深い援助物資までが。  

敗戦直後の人びとは、目の前の米国産「パンとサーカス」のまばゆさに圧倒され、その裏側まで見抜くゆとりはなかった。ならばアメリカに向ける私たちの視線は、あれからどれだけ熟したといえるだろう。  

かつての腹ぺこ少年モリタイチローは、その新大陸の全盛、退廃、復元の切片をかき集め、今の世の「虚栄の市」の意味合いを、しばし考えさせてくれるのである。

森田一朗コレクション 「すてかん」コレクション

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新たに展示するコレクション70点を加えて、再び登場する「路上の華」捨て看板およそ100点展示。
女子プロレスマッハ文朱、ビューティーペアの全てが!

格闘技・ストリップまで大迫力のスペクタクル看板の数々をどうぞお楽しみに!

新画廊 展示室 A / 入場料500円(A&B共通)

※会期中無休

 ここに展示された「すてかん」とは、神たちの来訪の先ぶれとして、たまさか巷に飾られ、「今夜此処での一と殷盛」の祝祭が終わるや、忘却される神像である。プロレスラーという、海の彼方から攻め寄せる兇相の怪人や大力の巨人、それを迎え討つ、手力男や坂田金時の末裔たる日の丸レスラーたち。
 はたまた、いまだこの島国の男たちが目にしたことのない、異国の謎の美女たちの肢体や、想像を絶する淫蕩な痴戯に虜られて帰れなくなるかもしれないストリップ小屋。ひたすら可憐なリングネームの、女子プロレスや小人プロレスの、妖精さながらのレスラーたち(いま、どうしているんだろう?)。
 そう、これら「すてかん」とは、国道を疾走してくる宝船に乗った七福神たちの絵すがたであり、森田一朗は巷々から、捨てられた神々を連れ去って甦らせる、文化史における゛本格の大盗゛にほかならない。戦果のお宝の中には、佐野市のストリップのポスターのように、本来使い捨てされるはずの「すてかん」が、リサイクルされているという(エコ!?)涙ぐましいものもある。
 諸賢が、この異形の七福神図を愛でられて、よき新年を迎えられんことを。 佐伯修(作家)

真珠子展「リボンヶ丘」~もしもし、子どものわたしへ~ 特別インタビュー

vanilla-gallery (2013年11月29日 15:32)
2011年の個展に続き、2度目の展覧会の開催となる真珠子さん。

今回の展覧会は「もう一度抒情を考える。」と、そこから展覧会の構想がスタートいたしました。

そして一面に野生のリボンが咲き乱れるリボンヶ丘が再現され、観るもの全てを圧倒するような個展会場となりました。

この空間を作り上げた真珠子さんに、この展覧会に付いてお聞きしてみました。

 

V:イベントも終わり、展覧会もいよいよ今週末までですね。

今回の展覧会出品作品について教えて下さい。

 

真珠子(以下真):展覧会のオファーがあり、今何を制作するか、という事は自分の中で立ち止まって考えたい事でした。

描く事は日常の中で、頭の中にイメージが出てきたら描いているのですが、頭の中を整理して、今一番何が描きたいか今一度考えてみました。

 

私はここ10年の間で作品がどんどん変化していて、それはタブロー作品だけではなくて、映像も含めてです。

今会場で流している昔制作した映像作品は全て私が声をあてているのですが、それを言うと皆驚くのです。

声まで変わっているって(笑)

 

今年の夏に寺山修司の展覧会を見に行って、その時に自分が忘れていたことを色々と思い出したのです。

寺山さんが好きだったこととか、竹久夢二が好きだったこととかですね。それで自分の事を振り返りたくなったのです。

自分が何に感動したのか、何を伝えたいのか、どのように自分が変化をしているのか、ずっとつけている日記を読み返してみました。

そこに昔大人になった時の自分に宛てて書いていた手紙を見つけたのです。

 

その手紙を書いてくれた小さい頃の私に対する返事を書きたいと思いました。リボンヶ丘を見せてあげたいと思ったのです。

 

V:それでこのインスタレーションが誕生したのですね。圧巻の光景なのですが、中に足を踏み入れると非常に落ち着くという...

真:皆が座ってピクニックできるような、寝転がって手紙が書けるような場所ですね。

 

V:また、この咲き誇るリボンの数には圧倒されました。

真:リボンは私の心です。いつもリボンをテーマに制作をしていたのですが、心の中でリボンが野生化してきたのです。

昔は畑で丁寧に水を与えたりしてリボンを作っていたイメージなのですが、今回はどんどん野生化して群生して、丘に咲き乱れたのです。

最初はこのリボンも型を作って制作しようかとも思いましたが、1点ずつ心赴くままに形作る方が気持ち良い線で制作する事ができました。

 

V:リボン一つずつに、その時々の真珠子さんの気持ちがつまっていて、一つ一つ見ていくのが楽しいです。

これはとても女性的なリボンだな...とか(笑)これは自己主張が強いな...とか。

 

真:制作においては偶然性を大事にしています。何が出来上がるかわかっててつくるものほどつまらないものは無いと思っています。

今回制作したこのリボンの線がとても気持ち良くて、これはずっとライフワークとして作っていきたいと思いました。

 

 

V:今回は今まで書き溜めていた日記も一部公開していますね。

真:36年分!(笑)読み返してみると当時から自分を客観視している子どもでした。

外から変わっていく自分を眺めるのが好きだったのだなと思いました。

それで、外から見た記録・資料的な意味で、「真珠子37才」という今回展示した作品と、写真を盛り込んだ本を制作しました。

 

これから38・39とずっと続けていきたいですね(笑)自分でもどんな変化があるか、楽しみです。

 

V:会期半ばのイベントもとても盛況でしたね。

真:イベントの時には私がしっかり司会をして、ヴィヴィアン佐藤さん、祖父江慎さん、レディシロウさんの、お姉様から色々とお話を引き出さなくてはと、事前にかなり準備をしてきたのですが、

お姉様方からは、私の予想をはるかに上回る凄いお話の連続でした。

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私はこういった場で、突然難しい事を聞いて、意地悪な質問で相手をいじめたくなるのですが、(笑)

予想をはるかに上回る答えを、それも斜め上の答えをポンと返してくれるのです。

 

この3人とお話する世間話は、いつも物凄い世間話で(笑)いつかこの世間話を皆に聞かせたいと思っていたので、

お姉様とイベントを開催出来て嬉しかったです。

 

V:記録も残しているので、いつか真珠子さんとお姉様のトークをお披露目できるといいですね。

 

 

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V:話は戻るのですが、展示されている日記にこの展示のテーマのきっかけとなった寺山修司と出会った時のことが記録されていて、それが凄く面白かったです。

真:とても上から目線で寺山さんの事を語っている(笑)

でも寺山さんの詩から生まれた、私の名前の事も今回思い出したのです。

 

V:そういう意味合いであのページが公開されていたのですね。

是非多くの皆様に、その出会いのページを見て頂きたいと思います。

真珠子さん、ありがとうございました。

 

 

「真珠」

 

もしも あたしがおとなになって

けっこんして こどもをうむようになったら

 

お月さまをみて ひとりでなみだをながすことも なくなるだろうと

さかなの女の子はおもいました

 

だからこの大切ななみだを 海のみずとまじりあわないように だいじにとっておきたいと 貝のなかにしまいました

 

そしてさかなの女の子はおとなになって そのことを忘れてしまいました

でも 真珠はいつまでも 貝のなかで 女の子がむかえにきてくれるのを まっていたのです

 

さかなの女の子 それは だあれ?

 

角川文庫「寺山修司少女詩集」より

 

 

ヴァニラ画廊内部に咲き乱れる野生のリボン、真珠子展「リボンヶ丘」は今週末11月30日までの開催となります。

是非この圧巻のインスタレーションを体感下さい。

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'13/11/18 〜 11/30 真珠子展「リボンヶ丘」~もしもし、子どものわたしへ~

入場料600円ヴァニラ画廊A室

http://www.vanilla-gallery.com/archives/2013/20131118a.html

 

~もしもし、大人のわたし様~

いかがお過ごしですか?この手紙は時空を超えて、未来の私の元に届くでしょう。

わたしは今、なにを見ていますか?~

子どもの頃、大人になった自分に手紙を書いていた。

~もしもし、子どものわたしさま~

見せてあげるね。大人になるのが怖かったわたしさま。

リボンは、野生化し、群生し、そこは、リボンヶ丘と呼ばれたよ。

真珠子の新作展を開催致します。今回のテーマは「今、もう一度、「叙情」を考える。」

未発表新作絵、野生のリボン桃源郷インスタレーションで発表致します。